∞妄想世界∞
俯き加減で歩く私の目には、紅葉なんて映らなくて、大樹くんの足元しか見えてなかった。

「ね。トーコ先輩。
 紅葉、見てます?」

不意にかけられた声に、慌てて顔をあげると、思い切り大樹くんと瞳が合って。

おもむろに視線を遠くの山へ移した。

「う、うんっ。
 ほら、一面真っ赤で、すごく綺麗だねっ」

慌ててそんな言葉を吐けば、隣からクスリと笑う声が聞こえた。

「何? 私、なんかおかしいコト言った?」
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