約束は森の中~導かれて~
「パパの服持ってくるね」

 イブは立ち上がります。

 今のままでは、
 気になって仕方がありません。

 悪いことを考えそうで、
 心臓に悪いです。

 だからといって、
 いきさつを聞くのも憚られます。

 子供相手に、
 本当のことを話してくれるでしょうか? 

 イブ自身も理解することは難しいかもしれません。


 それよりも、

 服を目にしない方が一番でしょう。
 気にしなくて済みます。


 幸い、怪我は治っているのですから。



「いえ、このままで。すぐに帰りますので」




 駆け出そうとしたイブを
 青年は引き留めます。

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