約束は森の中~導かれて~
「えっ、帰っちゃうの? 
今来たばかりなのに? もうちょっといて」

しばらくは、
ここに滞在してくれるとばかり
思っていたのです。

怪我は治ったとはいえ、
もう少し様子を見てからでも、遅くはないでしょう。

せっかく遊び相手が見つかったのに。


冬の間は、
森の友達も少なくて、
寂しかったのです。


「すみません。帰らなくてはいけないのです」


言いながら、
もう少し少女と一緒にいたいと思いました。

ここは
春の陽だまりのように心地よいのです。


青年も思います。



現実を忘れることができるのなら、

せめて、


傷が癒えていなかったらと・・・

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