約束は森の中~導かれて~
「おめめ、きれーい」
イブの口から感嘆の声が漏れます。
「きれい? この紅い瞳がですか?」
青年は紅い瞳を大きく見開きました。
「うん。お兄ちゃんのおめめ、好き。
宝石みたいで、とってもきれい」
青年は、
イブの飾らない素直な言葉に、
驚きながらも、嬉しそうに微笑みます。
「紅い瞳は、わたしの国ではとても珍しいもの。
畏怖されることはあっても、
好きだと言ってくれたのは、
あなたが初めてかもしれませんね」
「こんなにきれいなのに?」
初めて見た時から、
紅い瞳に魅せられていたイブは
不思議に思います。
「そうであってもです」
「そんなこ・・・と」
続けようとした言葉が止まります。
急に瞼が重くなりました。
強烈な睡魔が襲ってきます。
(まだ、寝ちゃダメなのに。お兄ちゃんに服を・・・)
目を開けようと、
何度か抵抗してみたものの、
無駄でした。
急速に意識が途絶えてしまいました。