約束は森の中~導かれて~
 このぶんでは、
 雪は夜を待たずに、
 ほとんど
 融けてしまうかもしれません。


 寝ていて、
 雪だるまも作れませんでした。
 がっかりです。



「樫の木さん。
 イブはいつ来たのかな? 教えて?」


『      』


 樫の木から返事はありません。



「樫の木さんも知らないの?」



 なんでも教えてくれるはずの樫の木は、
 沈黙したまま。

 青年のことは言えません。

 樫の木は嘘をつけないのです。

 だから、黙っているしかないのです。




「変だなあ」



 頭をひねりながらも、
 それ以上は聞きませんでした。

 
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