約束は森の中~導かれて~
 イブはもう一度、
 記憶の糸を探すように、
 目を瞑ります。

 けれど、
 何度探ってみても、
 霧に阻まれたまま、先へと進めません。

 胸に焦燥感にも似たもやもやが残ります。



 思い出しそうで思い出せないのは、
 消化不良を起こしたみたいに、
 気持ち悪いものです。


 辛抱強く何度も試みたものの、
 ダメでした。


 これ以上は無理なのでしょう。



 イブは諦めて、大きなため息をつきました。

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