不完全な魔女
男なんて気に入らない!
チェルミ・ルローロ 17才・・・魔法の国を追放されて人間の世界にやってきた不完全な魔女。
できそこないの魔女ではなくて、不完全な魔女。
チェルミは罪を犯して追放されたので、当然罰を受けている。
その罰とは・・・監視者である カリフ・ルローロ。本名=カリフ・リンガイア (仮年齢26才)の家に身を置き、人間の娘として生きること。
17才の娘の生き方をして、20才に父の再評価を受けて合格すれば故郷へともどることができる。
その課題とともに課せられたもう1つのペナルティは、太陽が完全に沈んでいる時間しか魔法の使用はできないということ。
学校へ行ってる時間帯には、当然魔法を使うことはできない。
「カリフ~!荷物が重いわ。手伝ってよ。」
「自分の荷物だろ、自分で片づけろよ。
俺はなぁ、これからここではおまえの兄貴役なんだぞ。
兄が妹にヘイコラしてられっか?
さあ、体力づくりにもなるから、がんばって片付けろ。」
「そんなぁ・・・だってカリフは魔法が使えるでしょ。
ちょいちょいってかけてくれればすぐに終わって、ずっと私を見張る手間が減るから都合がいいことじゃない。」
「却下!俺はなぁ、見かけや雰囲気はこのとおりのちゃらんぽらんに見えるかもしれないが、中身はけっこう真面目で任務に忠実なんだ。
しかも依頼主が王様だぞ。
王様直々の任務なんて、恐れ多く何にでも替えがたい重要任務だ。
それを破る真似はできるわけないだろ。
それにな、俺だって魔法モニターでばっちりと監視されてる。
少なくとも、おまえが20才になるまではな。」
「なぁ~~んだ。ひも付き監視者か。
程度ひく~~~い。」
「こ、こらっ、監視者をなめると痛い目みるぞ。」
カリフがさっと右手を上にあげると、チェルミはすぐに土下座をして叫んだ。
「申し訳ございません!余計なことはいいませんので、お許しを・・・。」
「わ、わかればいいんだ。
(へぇ、王女っていうわりには面白い娘だな。)
じゃ、まずは人間の娘として、最初の仕事をしてもらおうかな。」
「最初の仕事?」
「ああ。俺たちは今、この町にやってきたばかりだ。
そしてこの家での人間としての生活が始まるんだが・・・窓から見えるところに家があるだろう?
あの家がご近所さんでお隣さんなので、引っ越してきた挨拶をするんだ。」
「人間の家ね。ってことは人間に会うのね。」
「そうだ。だがな、見た目は俺たちと変わらない。
言葉も通じるから、普通に会話をすればいい。
まぁ、俺が兄として、この家の主として先にあちらの主殿へ声をかけるから、おまえはとにかくにこやかに、元気よく、礼儀正しくしていろ。いいな。」
「はい、わかりました。兄上。」
「なんかクラシックすぎるようだが、まぁそんな感じでいい。
それじゃ、これはお土産としておまえが抱えてついてこい!」
パチン!
カリフが指を鳴らしたら、花束とワインの入った紙袋がチェルミの前に飛び出した。
「わぁ、きれいなお花!」
「下調べしておいたが、お隣はおまえの通う高校の先生と、そのお婆さんに当たる人だ。
女性には花を、先生にはワインをプレゼントする。いいな。」
「ええ、気に入ってくださるといいわね。」
できそこないの魔女ではなくて、不完全な魔女。
チェルミは罪を犯して追放されたので、当然罰を受けている。
その罰とは・・・監視者である カリフ・ルローロ。本名=カリフ・リンガイア (仮年齢26才)の家に身を置き、人間の娘として生きること。
17才の娘の生き方をして、20才に父の再評価を受けて合格すれば故郷へともどることができる。
その課題とともに課せられたもう1つのペナルティは、太陽が完全に沈んでいる時間しか魔法の使用はできないということ。
学校へ行ってる時間帯には、当然魔法を使うことはできない。
「カリフ~!荷物が重いわ。手伝ってよ。」
「自分の荷物だろ、自分で片づけろよ。
俺はなぁ、これからここではおまえの兄貴役なんだぞ。
兄が妹にヘイコラしてられっか?
さあ、体力づくりにもなるから、がんばって片付けろ。」
「そんなぁ・・・だってカリフは魔法が使えるでしょ。
ちょいちょいってかけてくれればすぐに終わって、ずっと私を見張る手間が減るから都合がいいことじゃない。」
「却下!俺はなぁ、見かけや雰囲気はこのとおりのちゃらんぽらんに見えるかもしれないが、中身はけっこう真面目で任務に忠実なんだ。
しかも依頼主が王様だぞ。
王様直々の任務なんて、恐れ多く何にでも替えがたい重要任務だ。
それを破る真似はできるわけないだろ。
それにな、俺だって魔法モニターでばっちりと監視されてる。
少なくとも、おまえが20才になるまではな。」
「なぁ~~んだ。ひも付き監視者か。
程度ひく~~~い。」
「こ、こらっ、監視者をなめると痛い目みるぞ。」
カリフがさっと右手を上にあげると、チェルミはすぐに土下座をして叫んだ。
「申し訳ございません!余計なことはいいませんので、お許しを・・・。」
「わ、わかればいいんだ。
(へぇ、王女っていうわりには面白い娘だな。)
じゃ、まずは人間の娘として、最初の仕事をしてもらおうかな。」
「最初の仕事?」
「ああ。俺たちは今、この町にやってきたばかりだ。
そしてこの家での人間としての生活が始まるんだが・・・窓から見えるところに家があるだろう?
あの家がご近所さんでお隣さんなので、引っ越してきた挨拶をするんだ。」
「人間の家ね。ってことは人間に会うのね。」
「そうだ。だがな、見た目は俺たちと変わらない。
言葉も通じるから、普通に会話をすればいい。
まぁ、俺が兄として、この家の主として先にあちらの主殿へ声をかけるから、おまえはとにかくにこやかに、元気よく、礼儀正しくしていろ。いいな。」
「はい、わかりました。兄上。」
「なんかクラシックすぎるようだが、まぁそんな感じでいい。
それじゃ、これはお土産としておまえが抱えてついてこい!」
パチン!
カリフが指を鳴らしたら、花束とワインの入った紙袋がチェルミの前に飛び出した。
「わぁ、きれいなお花!」
「下調べしておいたが、お隣はおまえの通う高校の先生と、そのお婆さんに当たる人だ。
女性には花を、先生にはワインをプレゼントする。いいな。」
「ええ、気に入ってくださるといいわね。」
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