不完全な魔女
カリフの話をきいて、チェルミは少し震えた。
そしてそれに気付いたディルバがチェルミの手をギュッと握る。
「わ、私は・・・それでどうしたらいいの?
まだ、故郷にもどれないし・・・。」
「とにかく20才まで健やかに成長されることだ。
おまえの兄から生活の面倒をみてくれって言われて軽くほいって答えたが・・・まさか王女のいちばん近いところの護衛をする任務も担っていての人選だったとは驚いた。
若造が俺をチャラ男だってなめてんのかと思ってたけど、すべては計算づくだったんだ。」
「うん・・・カリフがお父さまより5つ下なことは知ってたわ。
何の化粧品使ってきれいなのか、そのうち質問しようと思ってたんだけど。」
「ぬぁあああ!!!んだと。チェルミ、おま、おま、おまえは俺の本当の年を知ってたというのか?」
「ええ。だけど、お兄ちゃんって呼べっていうから、そうしてた。」
「おいおい・・・こりゃ、王様にやられたな。」
「カリフは大魔法使いだけど、昔すごいプレイボーイでお父さまの花嫁候補を寝取った罪で追放になったって・・・。」
「うがぁーーーーっ!そこまで・・・まぁ、俺はモテたからプレイボーイなことは否定しないが、寝取ったんじゃない。
あっちが忍び込んできたんだ。だから逃げたけど、遅かった。
って、俺の話はいいんだ。
それより、王室の血を継ぐおまえが人間になるようなことがあってはいけないんだ。
だから・・・今より親密になることは許さない。
子ができてしまうようなことがあっては取り返しがつかないからな!」
「わかった・・・。俺は世界をゆるがすつもりはないから・・・これから帰ったら学校の先生に専念する。
放課後だの、プライベートはなしだ。
チェルミ、これからは俺を先生として・・・」
「無理よ!どうしてそんなこと言うの?
私をどこでも連れていきたいって言ったじゃない!
エスパーの秘密といっしょに恋人どうしなのも秘密だって約束は?」
「すまない・・・。帰る。」
「先生・・・。そんなに簡単にもどっちゃうの・・・。ひどいよ。」
「チェルミ。ディルバは自分でおまえのために身をひいてくれたんだよ。
おまえがスムーズに故郷に胸をはってもどるため。
危険にさらさないため。
別れが死にたくなるくらいつらくならないようにするために・・・な。」
「カリフ・・・どうして?どうして死にたくなるような別れをしなきゃならないの?
私はもう死にたい気持ちなのに・・・。
いっぱいキスしてくれたのに。」
「しばらく距離をおくんだ。
なんだったら、引っ越すか?」
「うん。・・・お隣は苦しい。
だけど、だけど・・・転校はしたくないよ。
先生はなるだけ無視するようにする。ロミたちクラスの友達とお別れは嫌だよ。
せめて人間の友達の思い出くらいは、大切にしたいもん。」
「わかった。手続きと住むところは俺にまかせろ。
とにかく、もう休め。っていっても・・・つらいよな。ここにもどる前が幸せだったんだから。
じゃ、目を閉じろ。昨日の記憶だけなら消してやるから。」
「うん・・・えっ、でも、だめっ・・・やめてよ。
記憶を消さな・・・い・・・で。」
バタッ。
チェルミはカリフの魔法で眠りに入った。
「俺は君の痛みをなるだけ、軽くしてあげるのも任務になってしまったようだ。
部下たちは時折、戦場と化した世界で戦っているけれど、俺はまだ平和なこちら側で大切な姫を育てるのが役目だからな。
そういう俺も、力がない遺伝をしていれば王室への出入りなどできない身分なんだが。
俺の母に感謝しなければならないだろうな。
母は超高級魔女といわれたが、夫の父親は人間と妖精とのハーフだった。
だから魔法の国には住めない。
なのに・・・重大な任務を王様から賜ってしまったな。」
そしてそれに気付いたディルバがチェルミの手をギュッと握る。
「わ、私は・・・それでどうしたらいいの?
まだ、故郷にもどれないし・・・。」
「とにかく20才まで健やかに成長されることだ。
おまえの兄から生活の面倒をみてくれって言われて軽くほいって答えたが・・・まさか王女のいちばん近いところの護衛をする任務も担っていての人選だったとは驚いた。
若造が俺をチャラ男だってなめてんのかと思ってたけど、すべては計算づくだったんだ。」
「うん・・・カリフがお父さまより5つ下なことは知ってたわ。
何の化粧品使ってきれいなのか、そのうち質問しようと思ってたんだけど。」
「ぬぁあああ!!!んだと。チェルミ、おま、おま、おまえは俺の本当の年を知ってたというのか?」
「ええ。だけど、お兄ちゃんって呼べっていうから、そうしてた。」
「おいおい・・・こりゃ、王様にやられたな。」
「カリフは大魔法使いだけど、昔すごいプレイボーイでお父さまの花嫁候補を寝取った罪で追放になったって・・・。」
「うがぁーーーーっ!そこまで・・・まぁ、俺はモテたからプレイボーイなことは否定しないが、寝取ったんじゃない。
あっちが忍び込んできたんだ。だから逃げたけど、遅かった。
って、俺の話はいいんだ。
それより、王室の血を継ぐおまえが人間になるようなことがあってはいけないんだ。
だから・・・今より親密になることは許さない。
子ができてしまうようなことがあっては取り返しがつかないからな!」
「わかった・・・。俺は世界をゆるがすつもりはないから・・・これから帰ったら学校の先生に専念する。
放課後だの、プライベートはなしだ。
チェルミ、これからは俺を先生として・・・」
「無理よ!どうしてそんなこと言うの?
私をどこでも連れていきたいって言ったじゃない!
エスパーの秘密といっしょに恋人どうしなのも秘密だって約束は?」
「すまない・・・。帰る。」
「先生・・・。そんなに簡単にもどっちゃうの・・・。ひどいよ。」
「チェルミ。ディルバは自分でおまえのために身をひいてくれたんだよ。
おまえがスムーズに故郷に胸をはってもどるため。
危険にさらさないため。
別れが死にたくなるくらいつらくならないようにするために・・・な。」
「カリフ・・・どうして?どうして死にたくなるような別れをしなきゃならないの?
私はもう死にたい気持ちなのに・・・。
いっぱいキスしてくれたのに。」
「しばらく距離をおくんだ。
なんだったら、引っ越すか?」
「うん。・・・お隣は苦しい。
だけど、だけど・・・転校はしたくないよ。
先生はなるだけ無視するようにする。ロミたちクラスの友達とお別れは嫌だよ。
せめて人間の友達の思い出くらいは、大切にしたいもん。」
「わかった。手続きと住むところは俺にまかせろ。
とにかく、もう休め。っていっても・・・つらいよな。ここにもどる前が幸せだったんだから。
じゃ、目を閉じろ。昨日の記憶だけなら消してやるから。」
「うん・・・えっ、でも、だめっ・・・やめてよ。
記憶を消さな・・・い・・・で。」
バタッ。
チェルミはカリフの魔法で眠りに入った。
「俺は君の痛みをなるだけ、軽くしてあげるのも任務になってしまったようだ。
部下たちは時折、戦場と化した世界で戦っているけれど、俺はまだ平和なこちら側で大切な姫を育てるのが役目だからな。
そういう俺も、力がない遺伝をしていれば王室への出入りなどできない身分なんだが。
俺の母に感謝しなければならないだろうな。
母は超高級魔女といわれたが、夫の父親は人間と妖精とのハーフだった。
だから魔法の国には住めない。
なのに・・・重大な任務を王様から賜ってしまったな。」