不完全な魔女
カリフは思いつめて手を震わせていた。
「カリフ・・・真っ青になってどうしたの?」
「そんなに、困った状況だとは思えなかったんだ。
この前、王宮に行ったときには・・・。
フィローニほどのやつが倒されたなんて。
そこまで強い相手がいるとしたら、ミレイ様は・・・ミレイ様・・・。」
「カリフ、もしかしてあなた・・・ミレイお姉さまを愛してるの?」
「いや、俺などがミレイ様のおそばなどにはとてもいられません・・・が・・・。
でも、王様に謁見するときに何度か見て・・・いえ、俺のことはいいんです。」
「ううっ。こんなときに・・・私だけがこんなこと。
いくら、罪だとはいえ、私だけがこっちでのんびりなんて・・・どうしたらいいのかしら。」
「君にだってできることがあるじゃないか。
ジェミオに頼んでいただろ。
こっちでわかるかもしれない犯人像とウィルスに対抗する力。
これを早く見つけてもらって本国に届けてもらうしかない。」
「ディルバ先生・・・。そうね。
罪人の私がここで心配ばかりしていても始まらないわ。
本国にいられないなら、いられない者じゃなきゃできないことやらなきゃ!」
ディルバにそうは言ったものの、チェルミは本国が気になっている。
自分がどうしたいとまでは言わないが、カリフの落ち込みようは普通じゃないと思った。
まさか、自分が傷をつけたミレイのことをカリフが思っていたとは驚いた事実だったが、なんとか彼をミレイに会わせることができたなら・・・そう思ってしまうのだった。
どうして、魔法使いは純粋じゃなきゃ、逢いたい人に逢えないのだろう・・・とチェルミは疑問に思った。
「なんで魔法の国では純粋種じゃないと住めないのかしら。
許可証がなければ混血種は寄り付くこともできないの。
自分が追い出されて初めてこんな不条理なことがわかるなんて!」
すると意外なことにディルバの口から答えらしきものをきくはめになった。
「マジでそんなことをきくのかい?」
「え、ええ。ディルバ先生もしかして、知ってるの?」
「いや、絶対とは言えないけど予想はつくだろ。
魔法使いは純粋種でないと魔法が使えるかどうかわからない。
魔法が使えなきゃ、何者だ?」
「えっ?だから・・・あ、普通の人。」
「だよな。普通の人が生きていける環境にあるのかい?
魔法の国ってとこは。」
「そういえば・・・小さい頃からテストが多かったわ。
定期的にテストがあって・・・あっ、いなくなった子もいた。」
「純粋種なのに?」
「あっ・・・親が誰かはっきりとはきいていないわ。」
「そういう子の親はたぶん、純粋種じゃない。
理由があってよそでできた子だってことさ。
純粋種は確実に魔法が使える。
魔力が小さくなっても、訓練すればもとにもどるのが純粋種なんだ。
混血だと魔力はあっても、いつかなくなるかもしれないし、結婚の途中で魔力がなくなる人間もいて家族としてやっていけなくなる。
だから王族はそういう人間を国には置かないのさ。
王族であっても妖精族と結婚したものや人間と結婚したもののもちろんいる。
だけど、それは許可できても魔法の国には置かない。」
カリフからあらためて魔法の国の掟を聞かされて、愕然としてしまうチェルミだった。
「えっ、それじゃ・・・わざわざこっちに出向いてきたランダルは純粋種なのにどうして?」
「だからそれは、姫様と・・・。」
「うそっ。本当に私と結婚するためにこっちに来たというの?」
「そ、そんなぁ・・・。」
それからその日はカリフとチェルミが落ち込んだままだったため稽古にならなかった。
しかし、ディルバはチェルミに言葉をかけてもどっていった。
「俺はこの世界に君がいる限り、他の女と結婚する気はない。
もちろん、本国に帰るならあきらめるしかないけどな・・・。
カリフから謝罪されて思った。
俺たちは俺たちの縁ってものがあるだろ。
それに、俺が妖精族だって知ることができたのだって君のおかげだしな。
じゃ、そういうことで。
カリフは真面目ないいやつだからランダルを放し飼いにはしないと思うし、俺はとにかく帰るよ。
何かあったらまた呼んでくれ。」
「うん・・・。」
「カリフ・・・真っ青になってどうしたの?」
「そんなに、困った状況だとは思えなかったんだ。
この前、王宮に行ったときには・・・。
フィローニほどのやつが倒されたなんて。
そこまで強い相手がいるとしたら、ミレイ様は・・・ミレイ様・・・。」
「カリフ、もしかしてあなた・・・ミレイお姉さまを愛してるの?」
「いや、俺などがミレイ様のおそばなどにはとてもいられません・・・が・・・。
でも、王様に謁見するときに何度か見て・・・いえ、俺のことはいいんです。」
「ううっ。こんなときに・・・私だけがこんなこと。
いくら、罪だとはいえ、私だけがこっちでのんびりなんて・・・どうしたらいいのかしら。」
「君にだってできることがあるじゃないか。
ジェミオに頼んでいただろ。
こっちでわかるかもしれない犯人像とウィルスに対抗する力。
これを早く見つけてもらって本国に届けてもらうしかない。」
「ディルバ先生・・・。そうね。
罪人の私がここで心配ばかりしていても始まらないわ。
本国にいられないなら、いられない者じゃなきゃできないことやらなきゃ!」
ディルバにそうは言ったものの、チェルミは本国が気になっている。
自分がどうしたいとまでは言わないが、カリフの落ち込みようは普通じゃないと思った。
まさか、自分が傷をつけたミレイのことをカリフが思っていたとは驚いた事実だったが、なんとか彼をミレイに会わせることができたなら・・・そう思ってしまうのだった。
どうして、魔法使いは純粋じゃなきゃ、逢いたい人に逢えないのだろう・・・とチェルミは疑問に思った。
「なんで魔法の国では純粋種じゃないと住めないのかしら。
許可証がなければ混血種は寄り付くこともできないの。
自分が追い出されて初めてこんな不条理なことがわかるなんて!」
すると意外なことにディルバの口から答えらしきものをきくはめになった。
「マジでそんなことをきくのかい?」
「え、ええ。ディルバ先生もしかして、知ってるの?」
「いや、絶対とは言えないけど予想はつくだろ。
魔法使いは純粋種でないと魔法が使えるかどうかわからない。
魔法が使えなきゃ、何者だ?」
「えっ?だから・・・あ、普通の人。」
「だよな。普通の人が生きていける環境にあるのかい?
魔法の国ってとこは。」
「そういえば・・・小さい頃からテストが多かったわ。
定期的にテストがあって・・・あっ、いなくなった子もいた。」
「純粋種なのに?」
「あっ・・・親が誰かはっきりとはきいていないわ。」
「そういう子の親はたぶん、純粋種じゃない。
理由があってよそでできた子だってことさ。
純粋種は確実に魔法が使える。
魔力が小さくなっても、訓練すればもとにもどるのが純粋種なんだ。
混血だと魔力はあっても、いつかなくなるかもしれないし、結婚の途中で魔力がなくなる人間もいて家族としてやっていけなくなる。
だから王族はそういう人間を国には置かないのさ。
王族であっても妖精族と結婚したものや人間と結婚したもののもちろんいる。
だけど、それは許可できても魔法の国には置かない。」
カリフからあらためて魔法の国の掟を聞かされて、愕然としてしまうチェルミだった。
「えっ、それじゃ・・・わざわざこっちに出向いてきたランダルは純粋種なのにどうして?」
「だからそれは、姫様と・・・。」
「うそっ。本当に私と結婚するためにこっちに来たというの?」
「そ、そんなぁ・・・。」
それからその日はカリフとチェルミが落ち込んだままだったため稽古にならなかった。
しかし、ディルバはチェルミに言葉をかけてもどっていった。
「俺はこの世界に君がいる限り、他の女と結婚する気はない。
もちろん、本国に帰るならあきらめるしかないけどな・・・。
カリフから謝罪されて思った。
俺たちは俺たちの縁ってものがあるだろ。
それに、俺が妖精族だって知ることができたのだって君のおかげだしな。
じゃ、そういうことで。
カリフは真面目ないいやつだからランダルを放し飼いにはしないと思うし、俺はとにかく帰るよ。
何かあったらまた呼んでくれ。」
「うん・・・。」