不完全な魔女
冷や汗をかきながら、カリフはチェルミを連れて自宅へもどった。
「おい、しゃべるなっていったのに、あんなになれなれしく、何やってんだ!」
「だって、おいでってあのおばあちゃんが言ったもの。」
「言ったとか言うな。あの方は人間界でいうところの女王様のようなお方なんだぞ。
俺らはここではしもじもの者なんだから、タメ口でしゃべっちゃいけないんだ。」
「だって・・・」
「だってじゃない!いいな、あんまり遊びに行くなよ。
遊びにおいでっていうのは、社交辞令だ。
ほんとに行ったら迷惑がられるだけだぞ。
しかも、孫息子はおまえと先生と生徒の関係になる。
先生の家に入り浸るのも変だからな!」
「変って?どういうこと・・・」
「だからだなぁ・・・生徒は先生に学問を習うものだ。それも学校でだ。
家族や親せきでもないのに、おおっぴらに会っていたら他の生徒からみたら、何か目的があると思われる。
しかもあいつは独身の男だ。
おまえと恋愛関係にでもなってみろ、あいつは学校をクビになるし、おまえはもう魔法の国には戻ることを赦されなくなる。
永久追放になりたいのか?」
「それは・・・いや。」
「そうだろう。こっちで学校を卒業して、20才の成人式に王様の判定で王女にもどりたいのだろう?」
「うん・・・。」
「だったら、ここでは監視者の俺の言うことをきちんときいて暮らしてくれ。
決して悪いようにはしないから。
君の兄上にいつも報告しているし、王様も君のこちらでの慎ましやかな生活を望んでいる。
罪は起こしたが、みんな君を愛している家族なんだからね。」
「でも、私のことを信じてくれなかったわ。
姉の結婚をぶちこわしたってそればっかり。
あいつは姉さまと結婚しちゃいけない男だってあんなに言ったのに。
姉さまは私をぶったわ。
他の姉さまも・・・母様も・・・私が悪い。姉さまの心を傷つけたって・・・私を罪人にしたわ。」
「チェルミ・・・君はまだ子どもなんだ。
君が言ったことが本当だとしても、言い方が悪かった。
みんなが姉上の結婚を祝福している中で、結婚をぶちこわしたら彼だけを信じていた姉上はどうなる?
俺だったら、きちんと悪い男の証拠をとってから、王様だけにまず相談したと思う。」
「あ・・・そっか。私すぐに思ったことをぶちまけてしまったんだ。」
「うん、そうだね。
だけど、今の君の話を聞いていて思ったけど、僕は君が嘘はついてないと思う。
素直なチェルミ。その素直さは持ち続けた方がいいよ。
これから人間の学校で、素直な自分をいかにうまくコントロールしていくかを学ぶんだよ。
思ったことを吐き出してしまうだけの素直は子どものすること。
これは今、話していいことなのか?話していい場所なのか?とかね・・・
人間の学校といってもコミュニケーションについては魔法の国と似たようなものだ。
だから、こちらでしっかりと学ぶんだ。」
「ええ、そうする。ありがとね・・・カリフ。
あなた、最初は傲慢で、チャラ男で手が早そうかと思ったけど、さすがお兄さまの親友だけあっていい人ね。
これからこっちのお兄さまとして、いろいろと助けてね。
ふぁああああ・・・眠い・・・。」
「寝てくるといいよ。君のベッドメイキングや部屋はできあがっている。
気に入らないところは、模様替えもしていいから。」
「うん、おやすみ・・・お兄ちゃん。」
(はぁ・・・お兄ちゃんか。実年齢は言わない方がよさそうだな。
本当の兄が息子ほどに感じるくらいのおっさんだとは思われたくない。
いい子じゃないか・・・チェイミは嘘は言ってないな。
これは裏があるのかもしれない・・・。王様は何かを隠してるな・・・。)
「おい、しゃべるなっていったのに、あんなになれなれしく、何やってんだ!」
「だって、おいでってあのおばあちゃんが言ったもの。」
「言ったとか言うな。あの方は人間界でいうところの女王様のようなお方なんだぞ。
俺らはここではしもじもの者なんだから、タメ口でしゃべっちゃいけないんだ。」
「だって・・・」
「だってじゃない!いいな、あんまり遊びに行くなよ。
遊びにおいでっていうのは、社交辞令だ。
ほんとに行ったら迷惑がられるだけだぞ。
しかも、孫息子はおまえと先生と生徒の関係になる。
先生の家に入り浸るのも変だからな!」
「変って?どういうこと・・・」
「だからだなぁ・・・生徒は先生に学問を習うものだ。それも学校でだ。
家族や親せきでもないのに、おおっぴらに会っていたら他の生徒からみたら、何か目的があると思われる。
しかもあいつは独身の男だ。
おまえと恋愛関係にでもなってみろ、あいつは学校をクビになるし、おまえはもう魔法の国には戻ることを赦されなくなる。
永久追放になりたいのか?」
「それは・・・いや。」
「そうだろう。こっちで学校を卒業して、20才の成人式に王様の判定で王女にもどりたいのだろう?」
「うん・・・。」
「だったら、ここでは監視者の俺の言うことをきちんときいて暮らしてくれ。
決して悪いようにはしないから。
君の兄上にいつも報告しているし、王様も君のこちらでの慎ましやかな生活を望んでいる。
罪は起こしたが、みんな君を愛している家族なんだからね。」
「でも、私のことを信じてくれなかったわ。
姉の結婚をぶちこわしたってそればっかり。
あいつは姉さまと結婚しちゃいけない男だってあんなに言ったのに。
姉さまは私をぶったわ。
他の姉さまも・・・母様も・・・私が悪い。姉さまの心を傷つけたって・・・私を罪人にしたわ。」
「チェルミ・・・君はまだ子どもなんだ。
君が言ったことが本当だとしても、言い方が悪かった。
みんなが姉上の結婚を祝福している中で、結婚をぶちこわしたら彼だけを信じていた姉上はどうなる?
俺だったら、きちんと悪い男の証拠をとってから、王様だけにまず相談したと思う。」
「あ・・・そっか。私すぐに思ったことをぶちまけてしまったんだ。」
「うん、そうだね。
だけど、今の君の話を聞いていて思ったけど、僕は君が嘘はついてないと思う。
素直なチェルミ。その素直さは持ち続けた方がいいよ。
これから人間の学校で、素直な自分をいかにうまくコントロールしていくかを学ぶんだよ。
思ったことを吐き出してしまうだけの素直は子どものすること。
これは今、話していいことなのか?話していい場所なのか?とかね・・・
人間の学校といってもコミュニケーションについては魔法の国と似たようなものだ。
だから、こちらでしっかりと学ぶんだ。」
「ええ、そうする。ありがとね・・・カリフ。
あなた、最初は傲慢で、チャラ男で手が早そうかと思ったけど、さすがお兄さまの親友だけあっていい人ね。
これからこっちのお兄さまとして、いろいろと助けてね。
ふぁああああ・・・眠い・・・。」
「寝てくるといいよ。君のベッドメイキングや部屋はできあがっている。
気に入らないところは、模様替えもしていいから。」
「うん、おやすみ・・・お兄ちゃん。」
(はぁ・・・お兄ちゃんか。実年齢は言わない方がよさそうだな。
本当の兄が息子ほどに感じるくらいのおっさんだとは思われたくない。
いい子じゃないか・・・チェイミは嘘は言ってないな。
これは裏があるのかもしれない・・・。王様は何かを隠してるな・・・。)