不完全な魔女
いきなり兄からすっと尋ねられたことに対して、チェルミは胸を張って答える。
「彼は妖精王を倒すため、私がお願いしてきてもらいました。
人間界に住んでいる妖精族のディルバです。
私が夜しか魔力がなかったときも、テレポートでずいぶん助けてもらいました。
だから、妖精王に対抗するには呪文を唱える間、私を抱えて逃げてもらわなきゃならないから。」
「ほぅ・・・。ではディルバに訊くが、チェルミを抱えてテレポートしてくれるというのだな。
同じ妖精族を倒しても恨みに思わないのか?」
「ええ、俺は、いえ、僕は妖精族って言葉さえも知らなかったんです。
ずっと自分は人間だと思ってきました。
人間でありながらそういう超能力を持っているんだと思って暮らしてきたんです。
でもチェルミが魔法使いだってことがわかって、僕も素直に話せたんです。
妖精王の実力がはっきりわからないので、僕の能力がどの程度なものかはわからないけれど、同じテレポートを多く使うってことと、こちらにはウィルスを除去する薬を作ってくれる仲間がいるので、薬を投与して妖精族をもとにもどして罪を償ってもらうしかないと思っています。」
「妖精王は残念だが、助かったとしても死罪は免れないぞ。」
「それは仕方がないと思いますね。
他にも誰をどういう状況で殺したかによって罪は違ってくると思います。」
「君の見解はよくわかった。
妖精族の全面味方にならない。我が魔法使いの仲間を助けてくれるなら、この地にやってきたことを罪にはしないことを約束しよう。
カリフもだ。混血であっても今はとにかく戦力がほしい。」
「はっ。・・・!あっ・・・。」
カリフが返事するのに顔をあげるとそこにはチェルミの姉のミレイが立っていた。
「ミレイお姉さま!ご無事だったんですね。」
「ええ、チェルミ。私もあなたが無事でほんとにうれしいわ。
私の心を壊した罪なんて勝手な罪を作って人間界へ行ってもらったのにはわけがあるの。
お父様の情報網と占いにはあなたをここに置いておくと、あなたに災いが起こるって出てたの。
だから人間界へ逃げてもらいたかったの・・・。」
「えっ・・・そうだったんだ。
それでお父様が・・・。お父様が亡くなってしまうなんて。」
「仕方ないのよ。王なんですもの。
皆の幸せを考えないわけにはいかないでしょう?
それにこの国では混血も生活できない。」
「ねぇ。それを詳しくききたかったの。
どうして魔法の国には混血は許可証がないと入れないの?」
「それ・・・マジできいてるの?」
「ええ。」
「あきれた人。だって、魔女が魔法を使えなかったらどうするのよ。
魔女じゃないじゃない。
魔法を使う種族が魔法も使えないなんてことがあってはならないの。
魔法レベルが低いくらいなら、練習でレベルアップを狙うこともできるけど、使えないと致命傷を負うことになるわ。
混血であれば、その人は魔法が使えても、結婚した後に魔法を使えない子どもがいた場合、なんてその子に説明してあげるの?」
「あ・・・・・。」
「だから申し訳ないけど、混血はその人が魔法を使えても・・・ね。
カリフ・・・チェルミのこと礼をいいます。
面倒みてくださって本当にありがとう。
でも・・・チェルミは妙な彼氏ができてしまったのね。」
「ミレイお姉さま、ディルバは学校の先生なの。
本当は私の担任だから、偉いの。
なのに私の国のために命がけで逃げ回る決心をしてくれてるの。」
「まぁ・・・それは失礼したわ。
でも、本当にいいの?
命をおとすかもしれないのに、チェルミを抱えて逃げられる?」
「わかりません。妖精王の実力は皆無ですから。
けど・・・チェルミを死なせるようなことはさせることはできません。
彼女は僕の生徒で僕の大切なひとです。
チェルミが死ぬことは絶対許せない。
だから僕は、チェルミを全力でサポートするためにきました。」
「ふっ、チェルミ。あなたもここを出ていく存在だったのね。
いいわ。混血でも許可証をあげるから、心配はいらないわ。」
「ミレイお姉さま、いえ、ミロアお兄さまきいてください。
私とディルバが妖精王に勝ったら、混血でも国に置いて下さい。
もちろん魔法を使えないなら、ここにいる必要なんてない。
そのときに追放でもなんでもすればいいんです。
だけど、混血でもカリフのようにすばらしい魔法使いで、私のような聞き分けの悪い生徒でも立派に育ててくれる存在は魔法の国にこそ必要だと思うんです。」
「そうだなぁ。カリフとは長い付き合いだし、人間界担当としていつも世話になり続けていたからなぁ。
親父ももういないし・・・わかった。
チェルミの戦いに僕も賭けようか。」
「彼は妖精王を倒すため、私がお願いしてきてもらいました。
人間界に住んでいる妖精族のディルバです。
私が夜しか魔力がなかったときも、テレポートでずいぶん助けてもらいました。
だから、妖精王に対抗するには呪文を唱える間、私を抱えて逃げてもらわなきゃならないから。」
「ほぅ・・・。ではディルバに訊くが、チェルミを抱えてテレポートしてくれるというのだな。
同じ妖精族を倒しても恨みに思わないのか?」
「ええ、俺は、いえ、僕は妖精族って言葉さえも知らなかったんです。
ずっと自分は人間だと思ってきました。
人間でありながらそういう超能力を持っているんだと思って暮らしてきたんです。
でもチェルミが魔法使いだってことがわかって、僕も素直に話せたんです。
妖精王の実力がはっきりわからないので、僕の能力がどの程度なものかはわからないけれど、同じテレポートを多く使うってことと、こちらにはウィルスを除去する薬を作ってくれる仲間がいるので、薬を投与して妖精族をもとにもどして罪を償ってもらうしかないと思っています。」
「妖精王は残念だが、助かったとしても死罪は免れないぞ。」
「それは仕方がないと思いますね。
他にも誰をどういう状況で殺したかによって罪は違ってくると思います。」
「君の見解はよくわかった。
妖精族の全面味方にならない。我が魔法使いの仲間を助けてくれるなら、この地にやってきたことを罪にはしないことを約束しよう。
カリフもだ。混血であっても今はとにかく戦力がほしい。」
「はっ。・・・!あっ・・・。」
カリフが返事するのに顔をあげるとそこにはチェルミの姉のミレイが立っていた。
「ミレイお姉さま!ご無事だったんですね。」
「ええ、チェルミ。私もあなたが無事でほんとにうれしいわ。
私の心を壊した罪なんて勝手な罪を作って人間界へ行ってもらったのにはわけがあるの。
お父様の情報網と占いにはあなたをここに置いておくと、あなたに災いが起こるって出てたの。
だから人間界へ逃げてもらいたかったの・・・。」
「えっ・・・そうだったんだ。
それでお父様が・・・。お父様が亡くなってしまうなんて。」
「仕方ないのよ。王なんですもの。
皆の幸せを考えないわけにはいかないでしょう?
それにこの国では混血も生活できない。」
「ねぇ。それを詳しくききたかったの。
どうして魔法の国には混血は許可証がないと入れないの?」
「それ・・・マジできいてるの?」
「ええ。」
「あきれた人。だって、魔女が魔法を使えなかったらどうするのよ。
魔女じゃないじゃない。
魔法を使う種族が魔法も使えないなんてことがあってはならないの。
魔法レベルが低いくらいなら、練習でレベルアップを狙うこともできるけど、使えないと致命傷を負うことになるわ。
混血であれば、その人は魔法が使えても、結婚した後に魔法を使えない子どもがいた場合、なんてその子に説明してあげるの?」
「あ・・・・・。」
「だから申し訳ないけど、混血はその人が魔法を使えても・・・ね。
カリフ・・・チェルミのこと礼をいいます。
面倒みてくださって本当にありがとう。
でも・・・チェルミは妙な彼氏ができてしまったのね。」
「ミレイお姉さま、ディルバは学校の先生なの。
本当は私の担任だから、偉いの。
なのに私の国のために命がけで逃げ回る決心をしてくれてるの。」
「まぁ・・・それは失礼したわ。
でも、本当にいいの?
命をおとすかもしれないのに、チェルミを抱えて逃げられる?」
「わかりません。妖精王の実力は皆無ですから。
けど・・・チェルミを死なせるようなことはさせることはできません。
彼女は僕の生徒で僕の大切なひとです。
チェルミが死ぬことは絶対許せない。
だから僕は、チェルミを全力でサポートするためにきました。」
「ふっ、チェルミ。あなたもここを出ていく存在だったのね。
いいわ。混血でも許可証をあげるから、心配はいらないわ。」
「ミレイお姉さま、いえ、ミロアお兄さまきいてください。
私とディルバが妖精王に勝ったら、混血でも国に置いて下さい。
もちろん魔法を使えないなら、ここにいる必要なんてない。
そのときに追放でもなんでもすればいいんです。
だけど、混血でもカリフのようにすばらしい魔法使いで、私のような聞き分けの悪い生徒でも立派に育ててくれる存在は魔法の国にこそ必要だと思うんです。」
「そうだなぁ。カリフとは長い付き合いだし、人間界担当としていつも世話になり続けていたからなぁ。
親父ももういないし・・・わかった。
チェルミの戦いに僕も賭けようか。」