不完全な魔女
チェルミは帰りのホームルーム以降、青い顔をしながら学校を後にしようとしていた。
「チェルミ、今から帰るのか?」
「はい・・・。」
「どうした?ああ?・・・体の具合でも・・・いや、違うな。
ロミと俺と話してた後から、ずっと暗い顔だ。
何かわけがあるのなら、言ってみろ。」
「言えません。言うことなんてありませんから。」
「ウソつけって。そんな顔してないじゃないか。
じつはさ、今日からおまえにうちへ来てもらって勉強の遅れをなんとかしようと思ってるんだけどな。」
「ちょっと今はそういう気分じゃないので・・・すみません。
さよう・・な・・ら」
「待てよ、そういう気分じゃない理由を言え!
いつもは何でもズケズケ俺にもモノを言ってるじゃないか。
どうしたんだ?どうしても言えないことか?
言えるところだけでも言えば、楽になることもあるぞ。」
「いいですから・・・もう。」
チェルミはディルバの手を振り切って走りだしていた。
「うるさい!うるさい・・・私は罪人なんだもん、そんなの言えないよ!」
「へぇ、どういう罪を犯したのかきかせてもらいたいものだなぁ・・・。」
「えっ!!???なんで・・・先生が行先にいるの?」
「さぁ、どうしてだろうな。
それより、おまえの罪って何だ?それが原因でおまえの心の傷になっているのか?」
ディルバはさっとチェルミをお姫様抱っこのように抱えるなり、チェルミの知らない花畑の真ん中にたどりついた。
「先生・・・何?今のは・・・魔法なの?」
「まぁ似たようなものだな。
あ、これは他の生徒には言わないでいてくれるかな。
そのかわり、おまえの秘密も誰にも言わないと誓うから。」
「あ・・・すべてを話してしまったら、私は殺されてしまうかもしれないから言えないの。
だけど、私は罪人としてこの地へ飛ばされてきたの。」
「罪人として?俺の隣の家へとばされてきたっていうのか?
なんか失敬な話だな。快適な居住空間なのに、流刑地扱いか?」
「ごめんなさい、そういう意味じゃないんだけど・・・世界全体っていうか、私は別の世界からやってきたの。
お兄ちゃんっていってるカリフは私の監視役なの。
私ね、お姉さまがいるんだけど、お姉さまがもうすぐ結婚式だっていうときに、相手の男の人が悪いヤツだってふれまわって、お姉さまの心を傷つけてしまって、周りを騒がせてしまったの。
家のみんなに恥をかかせてしまったの。
だから、自分の世界を追放されて・・・ここに来たの。
あはは・・・信じてない顔だね。
だったらもういいよ。ここはどこ?家まで帰り方を教えて。」
「信じるよ。おまえの目は嘘を言ってる目じゃない。
確かに、最初に会ったとき、お兄ちゃんって言ってたおまえの方が嘘くさい目の色をしていた。」
「目の色?」
「ああ、おまえは自分では意識してないんだろうけど、嘘っぽいことをいうときは藍色がかった瞳になる。
元気で素直なときは、空色になる。」
「ええっ!そんなに違う?やだぁ・・・それじゃいい嘘もつけないわ。」
「あはははは。ほんとに素直だな、チェルミは。
だから、わかるんだ。今の話は嘘じゃないってことがな。
だけど、追放って穏やかじゃないな。まだ17才だろ。
それも姉さんを救うために言い放ったことを誰も信じてくれないなんてな。
余程ついてなかったんだな。それに、おまえの話だと、身内の心を傷つけたって罪で住む世界まで変えられてしまうって、おまえの家族は何者なんだ?
姉さまってのも・・・もしかして、おまえは自分の世界ではとてつもなく高い位の親の娘とか?」
(げっ!先生・・・鋭すぎるよ・・・ああ、もういえないよ。殺されちゃう!)
「先生、お願いだから、もう何もきかないで。
もう、ほんとに言えないの。だから・・・」
「悪い・・・。秘密は知りたくなってしまうからな。
だけど、俺の話した話題のせいで、そんなに落ち込ませてしまったことは謝る。
おまえの弱い部分を攻撃してしまってすまない。
けど、他の生徒にはそう言うこともこれからある。」
「わかってます。先生は気にしなくていいの。
悪いのは私だから・・・。落ち込んで、気を遣わせてしまってすみませんでした。」
「かまわない。生徒に気を配るのは先生の仕事だ。
落ち込んでたのが他の生徒でも、追いかけていた。
だがちょっと驚いてる。異世界から来たっていうのはな。
あれ、というと学校にあるおまえの過去の資料・・・あれはどうやって?」
「ああ・・・それは・・・お願い、きかないで・・・。
それはだめなの。
いつかわかると思うし・・・今はまだきかないで。
ほんとにもう悪いことしないから。
この世界で20才まで、真面目に勉強も生活もがんばるから・・・赦して下さい。」
「チェルミ・・・。わかった。いずれわかるんだな。
で、20才までって何だ?」
「うわぁ!!!それは・・・20才になったら私だけの試験管が元の世界からやってきて、償ったと認められてたら故郷へもどれるの。」
「チェルミ、今から帰るのか?」
「はい・・・。」
「どうした?ああ?・・・体の具合でも・・・いや、違うな。
ロミと俺と話してた後から、ずっと暗い顔だ。
何かわけがあるのなら、言ってみろ。」
「言えません。言うことなんてありませんから。」
「ウソつけって。そんな顔してないじゃないか。
じつはさ、今日からおまえにうちへ来てもらって勉強の遅れをなんとかしようと思ってるんだけどな。」
「ちょっと今はそういう気分じゃないので・・・すみません。
さよう・・な・・ら」
「待てよ、そういう気分じゃない理由を言え!
いつもは何でもズケズケ俺にもモノを言ってるじゃないか。
どうしたんだ?どうしても言えないことか?
言えるところだけでも言えば、楽になることもあるぞ。」
「いいですから・・・もう。」
チェルミはディルバの手を振り切って走りだしていた。
「うるさい!うるさい・・・私は罪人なんだもん、そんなの言えないよ!」
「へぇ、どういう罪を犯したのかきかせてもらいたいものだなぁ・・・。」
「えっ!!???なんで・・・先生が行先にいるの?」
「さぁ、どうしてだろうな。
それより、おまえの罪って何だ?それが原因でおまえの心の傷になっているのか?」
ディルバはさっとチェルミをお姫様抱っこのように抱えるなり、チェルミの知らない花畑の真ん中にたどりついた。
「先生・・・何?今のは・・・魔法なの?」
「まぁ似たようなものだな。
あ、これは他の生徒には言わないでいてくれるかな。
そのかわり、おまえの秘密も誰にも言わないと誓うから。」
「あ・・・すべてを話してしまったら、私は殺されてしまうかもしれないから言えないの。
だけど、私は罪人としてこの地へ飛ばされてきたの。」
「罪人として?俺の隣の家へとばされてきたっていうのか?
なんか失敬な話だな。快適な居住空間なのに、流刑地扱いか?」
「ごめんなさい、そういう意味じゃないんだけど・・・世界全体っていうか、私は別の世界からやってきたの。
お兄ちゃんっていってるカリフは私の監視役なの。
私ね、お姉さまがいるんだけど、お姉さまがもうすぐ結婚式だっていうときに、相手の男の人が悪いヤツだってふれまわって、お姉さまの心を傷つけてしまって、周りを騒がせてしまったの。
家のみんなに恥をかかせてしまったの。
だから、自分の世界を追放されて・・・ここに来たの。
あはは・・・信じてない顔だね。
だったらもういいよ。ここはどこ?家まで帰り方を教えて。」
「信じるよ。おまえの目は嘘を言ってる目じゃない。
確かに、最初に会ったとき、お兄ちゃんって言ってたおまえの方が嘘くさい目の色をしていた。」
「目の色?」
「ああ、おまえは自分では意識してないんだろうけど、嘘っぽいことをいうときは藍色がかった瞳になる。
元気で素直なときは、空色になる。」
「ええっ!そんなに違う?やだぁ・・・それじゃいい嘘もつけないわ。」
「あはははは。ほんとに素直だな、チェルミは。
だから、わかるんだ。今の話は嘘じゃないってことがな。
だけど、追放って穏やかじゃないな。まだ17才だろ。
それも姉さんを救うために言い放ったことを誰も信じてくれないなんてな。
余程ついてなかったんだな。それに、おまえの話だと、身内の心を傷つけたって罪で住む世界まで変えられてしまうって、おまえの家族は何者なんだ?
姉さまってのも・・・もしかして、おまえは自分の世界ではとてつもなく高い位の親の娘とか?」
(げっ!先生・・・鋭すぎるよ・・・ああ、もういえないよ。殺されちゃう!)
「先生、お願いだから、もう何もきかないで。
もう、ほんとに言えないの。だから・・・」
「悪い・・・。秘密は知りたくなってしまうからな。
だけど、俺の話した話題のせいで、そんなに落ち込ませてしまったことは謝る。
おまえの弱い部分を攻撃してしまってすまない。
けど、他の生徒にはそう言うこともこれからある。」
「わかってます。先生は気にしなくていいの。
悪いのは私だから・・・。落ち込んで、気を遣わせてしまってすみませんでした。」
「かまわない。生徒に気を配るのは先生の仕事だ。
落ち込んでたのが他の生徒でも、追いかけていた。
だがちょっと驚いてる。異世界から来たっていうのはな。
あれ、というと学校にあるおまえの過去の資料・・・あれはどうやって?」
「ああ・・・それは・・・お願い、きかないで・・・。
それはだめなの。
いつかわかると思うし・・・今はまだきかないで。
ほんとにもう悪いことしないから。
この世界で20才まで、真面目に勉強も生活もがんばるから・・・赦して下さい。」
「チェルミ・・・。わかった。いずれわかるんだな。
で、20才までって何だ?」
「うわぁ!!!それは・・・20才になったら私だけの試験管が元の世界からやってきて、償ったと認められてたら故郷へもどれるの。」