不完全な魔女
秘密の同志
ハンタル高校で放課後も勉強に明け暮れる生活をおくりだして、3か月。
チェルミはやっとクラスの友達と同等の知識を得ていた。
もともと魔法使い修行をしていたときも、頭の回転はとても速かったが、人間界の勉強はカリフにざっと教えてもらったあともかなり複雑で、しかも魔法が使えない時間に勉学にはげまなくてはならなったため、かなりの時間を費やしてしまったのだった。
学校で最初に友達になったロミが天才だったこともあって、クラスメートたちも引いてる部分があったが、チェルミの持ち前の明るさや、素直さ、そしてみんなに追いつこうとして勉学にはげんでいる姿を見た人たちが彼女をだんだん認めるようになってきた。
そして、隣に住んでいる担任教師のディルバも短期間でのチェルミの努力に感心していた。
勉強の遅れがなくなってもチェルミはディルバの祖母のツィール夫人のお茶の時間のおしゃべり相手としてよく訪問しており、その光景をみるのがディルバの楽しみにもなってきていた。
「おう、今日はチョコレートケーキらしいぞ。」
「チョコレートですって!うわぁ・・・私、お婆さまのチョコ大好き!
お婆さま~~!チョコは元気ですかぁーーー!」
「あらあら、チェルミったら私のご機嫌じゃなくてチョコレートのご機嫌うかがいにやってきたのね。
おほほほほ、ほんとに面白いコね。
でも、チェルミはいつもピョンピョンとよく動くから、きっと太る心配もないわ。
たっくさんお食べなさい。」
「はーい。いっぱい食べますよぉ!
んん~~~!おいしぃ。この甘さがたまんないぃぃぃーーー!」
「チェルミ、そんなにガツガツ食ったら鼻血が出るぞ。
はぁ・・・おまえはほんとに食い気ばっかだなぁ。
女子高生なんてチョコといえば好きな男に何て言ってあげようか?とか考えてるんじゃないのか?」
「えっ、なんで?どうしてこんなおいしいものを男になんてあげなきゃなんないの?」
「おまえ・・・バレンタインデーとか知らないのか?」
「何?その日はおいしいもの食べるの?」
「っ・・・やっぱり、おまえは・・・まあいい。
その話は夜に会ったときにする。」
ディルバはふと、チェルミに勉強を教えた雨の日の夜を思い出していた。
夕飯後、寝る前までチェルミの試験勉強の仕方と勉強をみていたが、雨が降ってきてチェルミの家の前まで傘をさして送っていたときのこと。
「ねぇ先生、あのいくつかの光ってるのは何?
動物の目みたいなんだけど。」
「あ、タヌキだろ。夜は目が光るんだ。」
そしてタヌキたちが道路を渡っているところに、ものすごいスピードで大きなバイクが走ってきていた。
「いかん、ひかれる!間に合わない!!!」
「私におまかせ~~!チェルル、チェルル、リリンリン!!」
チェルミの手に一瞬、ベルのようなものが光ってみえると、タヌキたちの光る目が道路の向こう側でぴかぴかしていた。
「なっ!!!タヌキが?瞬間移動か?」
ディルバが間に合いさえすれば、自分がタヌキたちを抱えて瞬間移動しようと考えていたが、あまりのバイクの速さに実際はできなかった。
なのに、瞬間移動したタヌキが移動している事実に、目をこすりながらおそるおそるチェルミに声をかける。
「まさか・・・おまえがタヌキをチェルルチェルル・・・とか言いながら移動させたのか?」
「はい。夜だけは魔法が使えるのよ。」
「使えるのよ・・・って。おまえ、ほんとに魔法使いだったんだ。
で、正体を俺に知られてしまったら、ここにいられないとか・・・?」
「どうして?私は明日も登校しなきゃいけないでしょ。」
「なぁ、もしかしてだけどな・・・夜だけでも魔法が使えるんなら、ほうきなんかで家まで飛んで帰るとかできなかったのかな?」
「できないわ。だって魔法のほうきが先生んちにはなかったんだもん。」
「うぇ!!理由はそれ?」
「うん。でも、そうねえ・・・先生が私を抱っこして瞬間移動してくれた方が簡単じゃなかった?」
「あ・・・。」
「でも、神様のお導きだったのよ。こうやって傘をさして歩いて帰るのが。
おかげでタヌキさんたちを助けることができたでしょ。」
「そうだな。しかしまぁ・・・おまえには驚かされる・・・。
俺が超能力者でも、おまえぜんぜん驚かないと思ったら、自分は魔女だっていうし・・・。
話半分にきいてたけど、本当に魔女か・・・俺も驚かないからな。」
「先生ならそういうと思った。
お兄ちゃんは、夜でも魔法は他の人に見られたらダメっていうの。
大騒ぎになって捕まって火あぶりにされるぞって。」
「ああ、人間は魔女は火あぶりと考えて人たちがまだけっこういるからな。
自分たちに対抗しうる力のない者は、脅威に思った時点で敵になるものを排除しておきたいものさ。」
「人間からは敵なの・・・私?」
チェルミはやっとクラスの友達と同等の知識を得ていた。
もともと魔法使い修行をしていたときも、頭の回転はとても速かったが、人間界の勉強はカリフにざっと教えてもらったあともかなり複雑で、しかも魔法が使えない時間に勉学にはげまなくてはならなったため、かなりの時間を費やしてしまったのだった。
学校で最初に友達になったロミが天才だったこともあって、クラスメートたちも引いてる部分があったが、チェルミの持ち前の明るさや、素直さ、そしてみんなに追いつこうとして勉学にはげんでいる姿を見た人たちが彼女をだんだん認めるようになってきた。
そして、隣に住んでいる担任教師のディルバも短期間でのチェルミの努力に感心していた。
勉強の遅れがなくなってもチェルミはディルバの祖母のツィール夫人のお茶の時間のおしゃべり相手としてよく訪問しており、その光景をみるのがディルバの楽しみにもなってきていた。
「おう、今日はチョコレートケーキらしいぞ。」
「チョコレートですって!うわぁ・・・私、お婆さまのチョコ大好き!
お婆さま~~!チョコは元気ですかぁーーー!」
「あらあら、チェルミったら私のご機嫌じゃなくてチョコレートのご機嫌うかがいにやってきたのね。
おほほほほ、ほんとに面白いコね。
でも、チェルミはいつもピョンピョンとよく動くから、きっと太る心配もないわ。
たっくさんお食べなさい。」
「はーい。いっぱい食べますよぉ!
んん~~~!おいしぃ。この甘さがたまんないぃぃぃーーー!」
「チェルミ、そんなにガツガツ食ったら鼻血が出るぞ。
はぁ・・・おまえはほんとに食い気ばっかだなぁ。
女子高生なんてチョコといえば好きな男に何て言ってあげようか?とか考えてるんじゃないのか?」
「えっ、なんで?どうしてこんなおいしいものを男になんてあげなきゃなんないの?」
「おまえ・・・バレンタインデーとか知らないのか?」
「何?その日はおいしいもの食べるの?」
「っ・・・やっぱり、おまえは・・・まあいい。
その話は夜に会ったときにする。」
ディルバはふと、チェルミに勉強を教えた雨の日の夜を思い出していた。
夕飯後、寝る前までチェルミの試験勉強の仕方と勉強をみていたが、雨が降ってきてチェルミの家の前まで傘をさして送っていたときのこと。
「ねぇ先生、あのいくつかの光ってるのは何?
動物の目みたいなんだけど。」
「あ、タヌキだろ。夜は目が光るんだ。」
そしてタヌキたちが道路を渡っているところに、ものすごいスピードで大きなバイクが走ってきていた。
「いかん、ひかれる!間に合わない!!!」
「私におまかせ~~!チェルル、チェルル、リリンリン!!」
チェルミの手に一瞬、ベルのようなものが光ってみえると、タヌキたちの光る目が道路の向こう側でぴかぴかしていた。
「なっ!!!タヌキが?瞬間移動か?」
ディルバが間に合いさえすれば、自分がタヌキたちを抱えて瞬間移動しようと考えていたが、あまりのバイクの速さに実際はできなかった。
なのに、瞬間移動したタヌキが移動している事実に、目をこすりながらおそるおそるチェルミに声をかける。
「まさか・・・おまえがタヌキをチェルルチェルル・・・とか言いながら移動させたのか?」
「はい。夜だけは魔法が使えるのよ。」
「使えるのよ・・・って。おまえ、ほんとに魔法使いだったんだ。
で、正体を俺に知られてしまったら、ここにいられないとか・・・?」
「どうして?私は明日も登校しなきゃいけないでしょ。」
「なぁ、もしかしてだけどな・・・夜だけでも魔法が使えるんなら、ほうきなんかで家まで飛んで帰るとかできなかったのかな?」
「できないわ。だって魔法のほうきが先生んちにはなかったんだもん。」
「うぇ!!理由はそれ?」
「うん。でも、そうねえ・・・先生が私を抱っこして瞬間移動してくれた方が簡単じゃなかった?」
「あ・・・。」
「でも、神様のお導きだったのよ。こうやって傘をさして歩いて帰るのが。
おかげでタヌキさんたちを助けることができたでしょ。」
「そうだな。しかしまぁ・・・おまえには驚かされる・・・。
俺が超能力者でも、おまえぜんぜん驚かないと思ったら、自分は魔女だっていうし・・・。
話半分にきいてたけど、本当に魔女か・・・俺も驚かないからな。」
「先生ならそういうと思った。
お兄ちゃんは、夜でも魔法は他の人に見られたらダメっていうの。
大騒ぎになって捕まって火あぶりにされるぞって。」
「ああ、人間は魔女は火あぶりと考えて人たちがまだけっこういるからな。
自分たちに対抗しうる力のない者は、脅威に思った時点で敵になるものを排除しておきたいものさ。」
「人間からは敵なの・・・私?」