黒イ世界
奏やロッドと知り合ってから二ヶ月ほど経った日曜日だった。

「ねぇ遼。他の子にも会ってみる?」

突然の提案に僕は驚いた。
「え…、何で突然?」

「私たち以外に会ったことある子ほとんどいないじゃない。紹介もしたいし。

ようやく他の子も警戒心が薄れてきたのよ。
だからどうかなと思ってね。」

確かに僕はロッドと奏以外、ここの住人と話したことはなかった。
どんな人が他にはいるのだろうかと気にはなったが、所詮僕は部外者―。口を挟むことはできなかった。

「彼らが良いなら、僕はぜひとも会ってみたい。」



「そう、良かった。」
にっこりと微笑むと、彼女は立ち上がり二階へ手招きをした。
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