黒イ世界
奏
私の中の両親との記憶は、すでに微かなものになっていた。
十年以上前の事だ。記憶がなくても仕方ない。
ただ、最後に母親が泣いていたのだけは、今でも鮮明に覚えている。
きっと今も、二人とも元気に生きているのだろう。私のことなど忘れて―
6歳の時、私は彼らに捨てられてしまった。
正確には売られたかもしれない。本当のところどうなのか私には分からないが、今更どうでもよかった。
あんな事がなければ、今でも両親と幸せに暮らしていられただろう。
あの日が私の運命を変えてしまったのだった。
十年以上前の事だ。記憶がなくても仕方ない。
ただ、最後に母親が泣いていたのだけは、今でも鮮明に覚えている。
きっと今も、二人とも元気に生きているのだろう。私のことなど忘れて―
6歳の時、私は彼らに捨てられてしまった。
正確には売られたかもしれない。本当のところどうなのか私には分からないが、今更どうでもよかった。
あんな事がなければ、今でも両親と幸せに暮らしていられただろう。
あの日が私の運命を変えてしまったのだった。