黒イ世界
不自然に隔たりを生み出すあの空間。


ただ、黒い柵で囲まれただけの空間−

もしかしたら、誰かの敷地を囲う柵なだけかもしれないし、特に意味なんてないのかもしれない。

それだけなのになぜこんなにも気にかかるのだろうか…?

内側が何か別の世界かもしれないと、僕は勝手に空想を描いていた。
何故こんな馬鹿げた空想が浮かんだのか…。

つまらない毎日に、僕はちょっとした“非日常”という刺激を求めているのかも知れない。

けれど、その駅で降りることはなかった。
用もなければ、わざわざ降りるのも面倒だからだ。

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