黒イ世界
珍しく恐い夢を見た。

いつもみる夢はその夜に読んでくれた絵本の世界が舞台になっていた。
だから怖い夢など殆ど見ることはなかった。







それは黒い影がいつまでも追い掛けて来る夢だった。
何者か分からず、怖くて振り返ることが出来なかった。私はひたすら走った。

道はどこまでも続く一本の道で、自分の居る所以外は全てが闇だった。



背後に迫る影の吐く息が、ま首筋にかかる気がした。
けれど、振り替えってはいけないと、必死に走った。
足がとれてしまうのではないかと思うほど、早く走っていた。
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