黒イ世界
夕方になり幼稚園から家に帰った。

真っ先に洗面所へ行き、母がいつも言うので手洗い、うがいをした。
きちんと手荒いうがいをしないと母はおやつをくれなかったのだ。

手を泡だらけにしながらふと顔を上げると、目の前の鏡に気づいた。背中の事を思い出した。



−せなかみれるかな?そういえばどうなってるんだろう…



こっそりと椅子を台所から引っ張りだすと、洗面台の前に置いた。

私にとってそれは少し高い椅子なので、転ばないように慎重にその上に立った。
そして着ていた服をめくり、背中を見た。

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