黒イ世界
私は驚愕した。


そこには黒く変色した、まるで“手形のような”痣が二つ−

まるで悪魔の羽の様に背中にべっとりと張り付いていた。

擦ったり、洗ったりしてみたが、少しも落ちる気配はない。

泣きたくなった。

けれど、それ以上に怖くて仕方が無かった。


−ままにみつかったらおこられちゃう…
もしきらわれたらどうしよう…



自分に出来た謎のモノよりも、母に嫌われる方が怖かった。幼い私にとって大好きな両親は全てだった。

私はこの背中を両親に隠し通す事を決めた。


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