黒イ世界
その日から毎日鏡を見るようになった。
手形は日毎に鮮明になり、黒さを増していった。



さらに、そこの部分だけが腫れるようになった。
痛い訳でもなく、骨が皮膚を押し上げて盛り上がっているようだ。

手形のようだった形もいつの間にか大きくなり、まるで蝙蝠の羽のような形にかわってきた。







嫌な予感がした。

これは蝙蝠の羽のようになるのではないか、と。
全身から冷や汗が流れた。



−こわい


それでも、両親には言うことが出来なかった。

嫌われるのが怖かった。
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