黒イ世界
しかし、隠し通すには限界があった。
幼い私が、常に見付からないように神経を張り巡らすことなど出来る訳もなく、すぐに見つかった。

そのときの母の青ざめた顔は今でも覚えている。


その日から母は少しずつ、おかしくなった。

執拗に私を隠すようになった。

幼稚園へ行く前には、必ず背中を出してはいけないと、何度も言い聞かせられた。
以前は休みの度に出かけていたのに、今では出かけることはなくなった。

私は母を悲しませたくなくて、言い付けをしっかりと守った。


しかし、母は変わらなかった。
父は変わらず優しかったが、両親の言い争いが日常になっていた。

私はその度に耳を塞ぐしかなかった。


毎日が絶望だった。
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