黒イ世界
そんな毎日の中、私は六歳の誕生日を迎えた。


せめてその日だけは以前のように、お祝いをしようと父は母と計画していたみたいだ。

以前の、優しい父と母がそこにはいた。
温かな食卓があった。

私はケーキを彩る六本の蝋燭を、中々消すことが出来なかった。





「奏、どうして蝋燭を消さないんだい?ママが作ってくれた料理が冷めてしまうよ?」




「…だってけしたら、きょうがおわっちゃうもん。」

下を向いた私の目から、涙が零れた。
辛い日常に戻りたくはなかった。


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