黒イ世界

ある日、中学の時の友達と電車で偶然会い、一緒に帰っていたときだった。


懐かしい話や、今の高校など取り留めもない会話をしていて、ふとあの駅に停車した。

その時僕は見た。あの内側に人がいるのを。

「あの中に人住んでたんだな。」
と何気なく僕は彼に言った。



「人?人なんかどこにいるのさ?」

あんなに分かりやすいところにいるのに、彼は説明しても分からなかった。



何故だろう…

おかしいのは、僕か彼か…

僕には見えるあの人が、彼には見えないのだ。

あそこには何かある。

自分でも驚くほどすんなりと決意した。


あの駅で降りることを。

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