黒イ世界
「…奏はどうしてここに来たのか、しらないの?」


「知らないよ…。朝おきたらここにいたんだもん。」


「そっか…。
じゃあ奏は、何か人とは違うものがあるでしょ?」




なぜ、“違う”という事を知っているのだろうか。

心臓が早くなる。
知られることが怖かった。

「…どうしてきくの?」


「だって、ここには“普通の子”はひとりもいないもん。
だからここに連れてこられた子は何かしら違いがあるはずだよ。」


言うべきなのか迷った。
母親のように私を拒絶するかもしれない。



「…はね」


ようやく一言だけを絞りだした。
それだけ言うのが私には精一杯だった。そうして背中の翼を見せた。


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