黒イ世界
ロッドのように、私はまだ自分について何も分からない。

けれど、ここにいないと生きることが出来ない事だけは痛いほど分かる。
もう二度と両親の所へは帰れない。



先ずは、自分の体に現れたモノが何なのかを、知る必要がある。
そうしなければいけなかった。



今の私に残された道はひとつしかないのだ。


この小さな箱の中で飼われるしかない−。

ひらひらと狭い水槽で泳ぐ金魚のように。


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