黒イ世界
「ま、よくわからなくても困らないことだから大丈夫だよ。」
にっこりと笑ってそう言った。

ロッドは心が読めるのではないか、とドキッとした。




「ゆ、雪さんはどうしてここに居るんですか?」

その事を悟られぬように話題を変えた。







「私?私は…体温が異常に低いのよ。平熱30度もないの。
まるで死んでる人みたいでしょ。
そのせいか、老化が遅いの。今これでも26なのよ。」

にっこりと微笑んだ顔は、異常に白い。そしてどうみても17、8才にしか見えない。

そういう訳だったのか。



「怖い?」

雪さんが聞いた。

死人ではないが、生きているかも分からない。

「…うん。」

嘘が失礼な気がして、思わず本音を言った。


「正直な子ね。
本当の事言ってくれてありがと。
嘘を言われるより嬉しいわ。
実を言うと、私もあなたのその羽、少しだけ怖いかも。
悪魔みたいだし。でも、あなたはすごくいい子。ほっとしたわ。

奏ちゃん、今日からよろしくね。何かあったら言いなさい。」


「僕も!!!奏が虐められたりしたら、僕がやっつけてあげるから!!」
< 52 / 113 >

この作品をシェア

pagetop