黒ｲ世界

何でもこの羽は､人の細胞とはまるで異なり､蝙蝠の羽に近いそうだ。しかし、それとも異なるらしい｡詳しくは分からないが、この世のDNAでは確認されていないものだそうだ。

成長に合わせて羽も大きくなり､訓練次第では飛ぶことも出来るようになるそうだ｡
他にもいろいろ話されたが､幼い私には到底分からないことばかりだった｡

その結果を聞く度に､どんどん自分が人から遠ざかっている気がした｡
それが一番嫌だった｡

実験も楽な物ばかりでなく、時には痛みや苦痛を伴うときさえあった｡


逃げたかった｡しかし､それは出来なかった｡
私の居場所はもうない。

ﾛｯﾄﾞや雪さんと話すことが唯一の楽しみだった｡


日々過ごすたびに､知り合いも増えた｡
どうやら今､私が１番の年下らしい｡

そのためか、みんな私を可愛がってくれた｡
しかし､研究員や施設の人は､私達と必要以上に関わろうとしなかった｡

理由は何となく分かっていた｡





気 味 が 悪 い


こんなよく分からない異常な身体の者ばかりの施設だ｡それは仕方が無い事だと思う｡
親が私を捨てたということも､施設員や周りの反応から徐々に悟った｡

もしかしたら、この施設が私を譲り受けたいという提案を両親にして､私を“買った”のかもしれない｡

しかし、もうどうでもよかった｡私の優しかった親はもう死んでしまったのだから｡