黒イ世界
秋の肌寒い日だった。
この最近で一番寒いと思えるくらいだった。

私はロッドといつものように街へ来た。
相変わらず、施設員つきだったが…。

寒いのが苦手なロッドは、マフラーをぐるぐると首に巻きつけ、厚手の黒いコートを羽織り、ブーツをはいていた。
マフラーで鼻まで隠していたので、見えるのは薄い色の両目だけだった。


「少し行きたいとこあるから。」
唐突にロッドが言った。
一人で行きたい所があるなんて珍しい。いつも彼は私についてくるか、本屋に行くばかりだった。

「分かった。1時間くらいしたら、いつもの公園のベンチの所で良い?」

「うん。じゃ、また。」

そういうと彼は人込みに溶けて行った。
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