黒イ世界
私は時間まで服を見たり、本屋ヘ行ったりした。1時間はあっという間に過ぎた。

−やばい、既に5分過ぎた。公園に着く頃には10分ほどの遅刻になるだろう。
こういう時に走るよりも、飛びたいと思ってしまう。施設で何度か練習をしたら、自由に飛べるようになった。
ただ走るよりもかなり速い分、体力の消耗も激しいので、好きではなかった。

公園がようやく見えた。やはりロッドはいた。ベンチに座って本を読んでいた。
几帳面なロッドは、時間に対しても正確だった。
遅刻をすることはなかった。


「ごめんね!!遅くなっちゃって…」

「大丈夫今来たから。」
ロッドが笑って言った。
本は買ったばかりのようで既に半分ほど読み終わっていた。



彼は本を置くと、目の前に小さな紙袋を差し出した。

「なにそれ?」

「まぁ、あけてみて。」
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