黒イ世界
袋を開けると中には、小さな紅い石が埋め込まれている花が、三つ連なったネックレスだった。

「今日誕生日でしょ?」
悪戯っぽい笑みを浮かべている。彼は私の顔を覗き込んだ。自分でも忘れていたのに、彼は覚えていてくれたのだ。

「ありがとう。」
嬉しくて泣きそうになった。ロッドは私の手からそれを取り、首へ付けてくれた。

毎年雪さんやロッドたちはささやかなお祝いをしてくれた。
けれどここに居るのに年齢などは何の意味もなく、誕生日とは、単に産まれただけの日であり、意味があるとは思わなかった。

ここへ来て初めてもらったプレゼントだった。

「うん、やっぱり似合う。」
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