黒イ世界
私はロッドが好きなのだ。けれど、恋人でいたいといういわけでははなく、ただ一緒に居られればそれだけで良かった。
それだけで良かったのに…





外出から帰宅したその夜、花癌はロッドの脳を侵食した。
彼は、あまりの激痛に一晩中叫び声を上げていた。その声が恐くて、私は耳を塞いだ。
それでも聞こえるロッドの声…。
自分には何も出来ない。自分の無力さと、ロッドがいなくなるのではないかという恐怖で、私はその夜眠れなかった。



次の日、ロッドは命を取り留めた。
大量の薬を投与して、ようやく落ち着いたらしい。腕には注射の痕があり、点滴が繋がれていた。
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