黒イ世界
きっと、光りの当たり方で違う風に見えるだけだ。
そう解釈して、不安な気持ちを無理矢理、奥に押しこめて消した。
ロッドが早く良くなる事だけを祈った。


数日後、ロッドは元気になった。癌は運よく増殖しなかった。
施設員が話しているのを偶然聞いた。
普通は、脳まで腫瘍がきたら、植物状態だったり、死んでもおかしくはないそうだ。

もとから白い肌は、何故かより白くなった気がする。皮膚に浮かぶ紅い花々が、白さを強調しているのだろうか?
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