黒イ世界
耳の奥に沈黙が響く。
ロッドには知らせない方が良かったのかもしれない。いつものような検査の一部とでも言い、隠し通せばよかった。
私は後悔した。

「…結果は?出てるんでしょ?」
私の後悔とは裏腹に、彼は影澤に聞いた。



−嫌だ。聞きたくない。
自分の事ではないのに…いや、寧ろそれ以上に結果を聞きたくなかった。

ロッドがいなくなる−

唐突にそんな予感が私を襲う。思わず耳を塞ぎ、うずくまった。

椅子から立ち上がり、彼が隣に座るのが分かった。
「奏、君も聞いてよ。僕一人じゃ怖いんだ…」

そう言ったロッドの顔を見た。いつも守ってくれたロッドが初めて泣きそうな表情をしている。
少し冷たい彼の手を、私は握った。
「…うん。」

私が泣きそうになる。けれど堪えなければ。彼の方が怖いのだ。


希望…はたまた絶望なのか。影澤は話を始めた。

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