黒イ世界
薬の効果は絶大だった。
ロッドの脳に咲いた花は成長を止めるどころか、存在が小さくなっていた。

このまま行けば、ロッドの花癌は治るかもしれない…。私はそんな期待さえ抱いていた。




私の翼は治らなくても構わない。そんなことよりもロッドがいない世界に耐えられなかった。
もし、この羽をもぎ取って彼が治るならば喜んで私は切り落としただろう。


それくらい彼の存在は私の中で大きなものになっていた。失いたくはなかったのだ。


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