黒イ世界
しかし、天はいつも私達の見方などしてはくれなかった。



服用を始めて一月余りたった夜だった。
ロッドの様態が悪化することもなく、落ち着いた日々が続いていた。








月がとても大きく、そして気味悪くオレンジに輝いている満月の夜だった。


その夜、私はなんとなく胸騒ぎがしていたが、不安を打ち消し、ぐっすりと寝ていた。

いつもは鳴いているはずの虫の声はおろか、物音1つしなかった。この世で起きている人など誰もいないと思われるほど静かな夜だった。

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