黒イ世界
…疲れた。
歩き疲れたというよりは、見つからないことによる疲れだろう。
もう、帰ろうかと半ば飽き始めてふと右を向いた。















あった。



ここに柵などあったろうかと思ったが、間違いなく目の前にあの重々しい黒い柵がそびえ立っている。
周りを見渡すと、遠くに電車が見えた。柵は意外と離れていたのだ。

柵の周りは不法投棄と思しき、古びたテレビや、まだ新しそうな自転車、ままごとに使うような無駄に明るい色をした食器類など、様々なゴミが積まれていた。

なんとなく近づきがたい雰囲気だが、僕はそこへ向かった。


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