黒イ世界
私も彼も恨んではいなかった。寧ろ感謝さえしていたのだ。


ロッドは体が縮んだことよりも、しらない自分が現れる方が恐ろしいと言っていた。
何をして、何を考えているのか分からないもう一人の自分。もしかしたら、ロッドはもう一人に飲み込まれていたかもしれない…。

それに比べたら感謝しきれないほど救われたのだと。



ようやく頭をあげた影沢の顔色は病人のように青白かった。全身痙攣を起こしたかのようにのように震えていた。

私は彼の背中を擦りながら、ありがとうと何度も呟いた。




< 83 / 113 >

この作品をシェア

pagetop