黒イ世界
「影澤さ…」


部屋の電気をつけた。私はその場に腰が抜けて座り込んだ。必死にこみあげる吐気をこらえた。


彼の手には注射器と、机には血のついた剃刀があった。
その横に私達の名が記された手紙があった。いつもは丁寧な彼の字が、殴り書きの様に乱れていた。

ロッドはそれを急いでポケットに詰め込むと、引き出しをあけた。
影澤があの薬を入れている引き出しだ。

中にあるだけ薬をポケットにつめると、私を抱き抱え、逃げるように部屋を後にした。


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