黒イ世界
彼も責任を感じているのだ。おそらく、私達と出会わなければ彼はこんなに苦しむ事も、早く死ぬことはなかった。


せめて、自分のために作ってくれた彼の最後の結晶を他の施設員には奪われたくない。

これがロッドなりの最後の恩返しなのだろう。

私は何も言うことができなかった。




「あ、手紙……奏、読んでいい?」


小さく頷くと、彼は封を切り手紙を読みはじめた。




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