黒イ世界

錆色のココロ

どうやって逃げだそうか…。毎日ロッドとはこの話ばかりしていました。

施設の中を歩きまわり、逃げる仲間に声をかけ、細かに計画を立てました。
脱走を企てているにも関わらず、それは楽しくさえ感じました。

私たちは、明るい満月の夜に逃げることにしたのです。」



ごくん、と残った紅茶を飲み干すと彼女はそこで一息をついた。



「紅茶、すっかり覚めてしまいましたね。入れ直してきます。」

みんなのカップを集め席を立つと、キッチンへと消えていった。




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