黒イ世界
僕はもっと彼等を知りたいと思っていた。
最初に僕を捕えて放さなかったあのビー玉のような目が、僕を見つめている。


「変な奴だな。
俺らはフリークスだぞ?気味悪くないのか?」


「それよりも、僕は好奇心の方がが勝ってるよ。」


どちらからというわけでもなく、僕らは笑いだした。
そこへ丁度紅茶を入れて彼女が戻ってきた。


「なんだか楽しそうね。何かあったの?」


目の前に出された湯気の立ちのぼる紅茶からは、いい香りがした。


「奏、こいつは変なやつだよ。
悪いやつじゃなさそうだけど。」

注がれたばかりの紅茶を一口飲むと、彼は部屋から出ていった。

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