小さな気持ち
「…………お嬢様、申し訳ございません……」
慈しむようにストールを撫でながら言われ、檸檬は首を傾げた。
「なんで謝るの? ……そのストールは私の自己満足なんだから謝る必要なんて・・・」
執事は首を横に降ると何度か深呼吸をし、やがてなにかを決意したように顔をあげる。
「………………以前、お嬢様の部屋を掃除していた時、このような物を拾いまして」
言いながら上着のポケットに手を入れ、なにかを取り出す林檎。なんとなくその手に握られたものを見ると少女は身を乗り出した。
「それ……っ!?」
失くしたと思っていたコサージュを思いもよらない場処で見付け激しく狼狽する。
「失くしたかと思ってたのに……林檎、貴女……」
責めるように睨むと執事は目を伏せ、そして小声で謝った。