続・新撰組と妖狐ちゃん!
「…血。血を吐いただろ。」
あたしがそう言った瞬間、
沖田の瞳が揺れた。
明らかに動揺してる。
「…それはあの時は熱中症だったかr「…違う。今さっき血を吐いただろって言ってんだよ。」
「…何言ってんの、日向。」
馬鹿じゃないの。
という目で見てくる沖田を無視し、
クンクンと匂いを嗅いだ。
「…血の匂いがするけど?」
あたしが顔をしかめながら言うと、
沖田がわたしの手のひらを見て、
「日向の血じゃないの?」
と、あたしの手のひらをペロッと舐めたので、無言で腕をひねり上げた←
「人間と妖怪じゃ全く違うんだよ。
匂いも全然違う。
あんたからあんたの血の匂いがするし。」
それに、
と、あたしは部屋の中を見渡した。
そして、部屋の隅にある文机を見た。
微かに沖田の血の匂いがする。
「あそこにその証拠が入ってると思うぞ?」
「…何でそう思うの。」
沖田が顔をしかめながら言ったので、
あたしはちょうど視界に入る沖田の懐に入っている懐紙を手に取り、
「これに血がついた物が引き出しに入ってるはずだ。
…なんなら、確認してやろうか。」
あたしはニヤッと黒い笑みを浮かべた。
「…っ」
すると、沖田は黙り込んだ。
観念したのだろうか。
少し腕の拘束が緩んだので、
あたしはすかさず沖田を押し退け、
再び沖田の上に馬乗りになった。
「…だからそれ意味ないって。」
呆れたように言う沖田に
ふんっとあたしは鼻を鳴らした。
「同じ事をするほど
馬鹿だと思うか?」
そう言った後、
沖田がこくんと頷いたのは
見えなかった事にしておこう。←
そして、沖田の両腕を掴み、
畳に押し付け、
頭を集中させて、一言。
「『縛。』」
「!?…何これ。」
その瞬間、あたしは半妖化し、
沖田の身体は見えない鎖で
畳に縫い付けられた。
「簡単な術だけど…
案外使えるもんだなコレ。」
手を離しても、
沖田が動けない事を確認し、
あたしはへぇー、と自分の両手を見た。
下では沖田が動こうともがいている←
「ちょっ!日向、解いてよっ」
はっ、ざまぁみやがれ←
あたしは沖田を見下ろし、
黒い笑みを浮かべながら言った。
「さーて、
動かぬ証拠もある訳だし、
動かぬ状態でもあるし←
治療を受けてもらいましょーか、
沖田サン。」
すると沖田は
苦い顔をしてそっぽを向いて言った。
「…日向には関係ないでしょ。」
その瞬間、あたしの頭の中の何処かが
ブチっと切れた音がした。
「関係ないだと!?
どんだけ皆が心配してると思ってんだよ!!」
あたしはガッと沖田の胸ぐらを掴み、
怒鳴った。
「迷惑かけたくないとか思ってんならな、早く治して元気になればいいじゃんか!!」
そう言った瞬間、
沖田がキッと睨んできた。
「治らないかもしれないんだよ!」
その一言にあたしは、
は?と顔をしかめた。
「そんなのあたしの治癒能力で…「もしこれが、『不治の病』だとしたら?」
「『不治の病』…?」
あたしが聞くと、
「…労咳っていう病があるんだよ。
肺に穴があいて、
…血を吐いて死んじゃう病。
僕はもしかしたら、
それかもしれない…っ」
沖田が悔しそうに唇を噛んだ。