続・新撰組と妖狐ちゃん!
そして沖田は、あたしがゴシゴシと涙を拭いている手ごと、あたしの両頬を大きな手で包んだ。
…というか、ムニっとされた←
「…何。」
「おー、もちもちぷにぷにー」
とか言いながら、
そのまま、ムニムニと頬を弄る沖田に、
もう一度術をかけなおしたろか、
とかイライラしていると、
ふと、沖田の手が止まり、
親指で目元の涙を拭われた。
そして、
「僕の為に泣いてくれたんだ?
嬉しい」
「!?」
フワッと笑ったんだ。
今までで多分一度も見た事がない、
沖田の純粋な笑顔。
ただでさえ、
(性格を除いて)美青年なのに、
そんなのを間近で見て、
ドキドキしない女はいないだろうなー。
…とか、思ったあたしも
その女の中に入ってしまった。
「ち、違ぇよ!!
あたしはただ、昔の事を思い出して!」
この顔の距離に耐えられなくなり、
とりあえず、離れようとしたが、
まだ頬を両手で挟まれていて←
…これが地味に痛いのです。←
すると、あたしの頬を両手で挟んだまま、沖田は悪戯に笑って言った。
「ふーん?残念。
日向が僕の為を思って泣いてくれたと思ったから、ちゃんと治さなきゃなーって思ったのに。なんか治す気なくなってきたー」
「はぁー!?」
なんだそれ、
さっきまで嫌だと言っていた奴が
コロッと変わりやがってクソ。←
あたしはイライラしながら、立ち上がろうとした沖田を畳に押さえつけた。
「あ"ーもう!それでいいから!!
大人しく治療されとけ、チクショー。」
そう言って、胸に手をかざすと、
沖田はククッと笑いを堪えた。
「素直じゃないなぁ、日向は←」
「なーにーがー!!」
集中集中!!
あたしは沖田に馬乗りになったまま、
目を閉じ、頭を集中させた。
が。
「…。」
目を閉じてても分かるくらい、
物凄く下から視線を感じる訳ですよ。
いや、そりゃ、
この状態だったら、沖田の視界に入るのは当たり前なんだけども!!
あたしがうっすら目を開けると、
沖田が半妖化したあたしの耳を触ろうとしていた←
「…おいコラ。
触んじゃねぇぞ。」
あたしが顔を引きつらせると、
沖田は視線を耳に向けたまま、
「ほら日向、集中集中」
手も耳に近づけたまま言った←
…どの口が言っているんだこのくそ。
けど、あと少しで終わりそうなので
ちゃっちゃと終わらせようと、
もう一度集中しようとした途端、
「!?ひゃんっ!?」
チョンッと耳を触られて、
身体がビクッとなった←
触りやがったコイツッ!!!
「!?え、日向今の声…」
びっくりして目を開けると、
沖田も目を丸くしていた←
が、その顔はすぐに
いつもの黒い笑みへと変わった←