続・新撰組と妖狐ちゃん!
妖怪でも暑さは苦手です。
「日向ー、部屋入るよー?
…え、日向?」
「みぃーたぁーなぁー??」
「いや、怖い怖い怖い怖い!!
え、何その格好!?
耳!?尻尾!?何その炎!?」
「とりあえず黙れ平助っ!
中入っていいから、早く襖閉めろアホ。」
「あ、悪りぃ。」
島原から帰ってきて、一ヶ月。
季節は、ジメジメする梅雨から
夏へと突入していた。
妖怪だからって、暑さとか寒さが全く平気という訳ではない。
子どもの時みたいに川に涼みに行けたらいいけど、それを此処の鬼副長が許してくれる訳がなく←
あたしは、襖を締め切り、
部屋の隅っこで独自の方法で涼んでいた。
それが、狐火で涼むという方法←
「平助にこの格好を見せるのは初めてだったな。あたしはまだ未熟だから、妖術使うと半妖になるんだよ。」
あたしが、体操座りで両手をお皿の形にして、狐火を灯していると、
平助はへぇ〜、とあたしを眺めた。
「ねぇ、耳とか触らしてy「やだ。」
…即答しなくても。」
一瞬しょぼんとした平助だったが、
すぐに興味の対象は、耳と尻尾から、
手のひらに灯している狐火へと移った。
「ねぇ、それ熱くないの??」
「全然?むしろこれで涼んでる。」
ほれ、と平助に近づけると、
平助は恐る恐る狐火に手をかざし、
おぉー!と声を上げた。
「すっげぇ!めっちゃ涼しい!!」
「だろ?」
人にもこの方法は効くようだ。
…ま、当たり前か←
暫く、狐火にあたっていると、
「…何で炎なのに涼しいんだ??」
「…気付くの遅くね?」
やっと平助は疑問に思ったらしい。
頭に沢山のハテナを浮かべている平助のために、あたしは分かりやすく説明をしてやった。
「これは狐火だ。通称ひとだま。
それは聞いたことあるだろ?」
「おう。」
あたしは、
片手に一つずつ狐火を灯して、
クルクルと弄んだ。
「ひとだまは人の魂でもあるけど、人の生命力を吸い取る事が出来るんだ。」
「おぉ!すっげぇな!」
なるほど!という表情をする平助に、
あたしはニヤッと黒い笑みを浮かべた。
「…つまり狐火にあたって涼しいのは、
現在進行形で生命力を吸い取られてるからだ。」
「へぇ〜……えええええええ!!??」
狐火から飛び退くや否や、
顔が真っ青になった平助←
どうやら意味が分かったらしい。
「もう少し狐火にあたっていたら
生気吸い取られて死んでたぞ★?」
ククッと笑いを堪えながら言うと、
「ひ、日向、俺を殺す気!?」
本気で怯えられたw←