続・新撰組と妖狐ちゃん!
黙々と素麺をすすっていると、
ふと、斉藤の麺だけ色が違う事に
気付いた。
あたし達の素麺は白いのに、
斉藤のは何つーか…
灰色と茶色の中間くらいの色←
「…なぁ、斉藤。」
「…なんだ。」
あたしが声を掛けると、
斉藤は食べる手を止めて
こちらを見た。
「お前の素麺…
…腐ってるのか?」
「「「ブーっ!!!!!(笑)」」」
三馬鹿が一斉に吹き、
「アハハハッ!!
一くんの素麺腐ってるって!!←」
沖田が爆笑しだし、
「…っく…お前食い気は凄いくせに
知識は無いのな。」
土方は笑いを堪えながら言った。
急に笑い出した幹部に
あたしは思いっきり顔をしかめた。
「仕方ねぇだろ。甘味以外、人の食べ物はあんまり食べてこなかったし。」
そんなお金無かったし←
あたしが口を尖らせて言うと、
「…確かに甘味には詳しいよなテメェ」
土方が苦笑いしながら言った。
「つーか、腐ってなかったら何なんだよ。見た目あんまり美味しくなさそうなんだけど。」
色が。
灰色と茶色って。
あたしが斉藤の方をジトーッと見ると、
斉藤が珍しく顔をしかめた←
「…これは素麺ではない。
蕎麦というれっきとした食べ物だ。
素麺よりも遥かに美味い。」
「!?なんだと!?」
素麺より美味い食べ物!?
素麺好きとして否定したい所だが…
気になる。
物凄く気になる。←
「あのね、日向、一くんが極度の蕎麦好きであって…素麺より美味いかどうかはその人しだいだから…」
平助が苦笑いしながら言っているが
あたしの耳には一切入らず、
あたしはその蕎麦と言う食べ物を凝視していた←
それを見兼ねた斉藤が、
「…食ってみるか?」
そう言って、手招きをしてきたので
あたしは斉藤の席の隣へと向かった。
すると斉藤は、
一口分の蕎麦を箸で取り、
そして、その麺を素麺と同じように
ゆっくりとつゆに付けて、
ゆっくりと持ち上げた。
「おぉ〜…」
すっごく動作が綺麗なんですけど!?
周りのガサツな男どもと違って!←
…あ、山南さんも綺麗です←
その無駄のない滑らかな動きと、
つゆに付けられて、艶やかに光っている蕎麦に魅入っていると、
斉藤は、ふとその箸を
あたしの口元に持ってきた←
今までの一連の動作から
あまりにも美味しそうに見えたので、
あたしはそのまま吸い寄せられるように
その蕎麦を食べようとした。
が。