カタキに恋をした。
**時雨side**
楓「やっぱり、その…
守ってもらえませんか?」
そう言った楓。
もちろん俺としては嬉しいが。
「楓は、いいのか?」
楓に無理矢理言わせてしまったとしたら、俺は傷つく人を見過ごすよりヒドいことをした。
その問いにすこし視線を泳がせた後、楓はコクン、と頷いた。
「そっか…良かった。」
そういってほほえむと、楓の顔は再び真っ赤になる。
楓「じっ、じゃあ!!
ちょっと、支度してきますね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」
楓がそう言った後、ドアが閉まる。
そして、中から、ドンッ、バタバタッ、ガッ、いったー…バサバサッなどの音が聞こえた後、たいそう疲れた顔で楓が出てきた。
なぜか鼻が赤くなっている。
楓「おまたせ、しました…」
介「楓チャン、すごい音したけど平気?」
まるでその理由が分かってるかのように、介が楓にいった。
楓「へっ、平気です!」
「そうか?
楓、鼻が赤いが…」
楓「ぶつけたんじゃないですよ!?」
ぶつけたのか…
あわてて否定するものの、自分から墓穴を掘っていることに気付いていない楓が、無性にかわいく感じた。
…ついに俺の目は、イかれたか…。
俺達は楓の家を背中に、学校へと向かう。
俺達雲龍は、かなり有名だ。
その上位5人に囲まれ、何の騒ぎだとジロジロ見る視線がイタい。
歩道は並んであるいてはいけません。
そんな言葉を思い出し、なんとなく全員2人組で歩いた。
俺と楓
誠と介
陸と霧矢
この組み合わせで。
楓に必要以上にこだわったのは、理由がある。
“陸がハッキングした”
俺はさっきそう言ったが、まぁそれはホントだ。
学校の情報にアクセスし、警備をかいくぐり、個人情報を盗み見る。
それを陸は、10分で済ませた。
が。
──────────…
陸『出たぞ。』
『おー、サンキュ
んー…と、筏井楓…こいつで間違いないな。
住所は…ここって結構ここから近いな。』
陸『ああ………………………あ?』
『どうした?
なんか気になることでもあったか?』
陸『いや…
わずかだが…前に一度、跡がある。』
『跡?』
陸『誰かが先に、筏井楓の個人情報にアクセスしたってこと。』
『…島田か。』
陸『いや、蜥蜴にここまで痕跡を残さずにハッキングできるヤツなんていないはずだ。
俺でもここまでは…』
『その“跡”、解析できるか?』
陸『…やってみる』
─────────…