カタキに恋をした。


カチャカチャとベルトをいじる音が聞こえたところで、もう一つの音が聞こえた。



“このままだと、ヤられちゃうわね”



…この、声は…!!

まぁ、あたしなんだけど。


《カズサ?》

“ホラ、私の出番。

コイツらはね、全国No.2の…”

《違う!

カズサに出番なんかない!!》

“じゃあそのまま、犯されてもいいの?”

《自分でなんとかするから!!

だからカズサは、引っ込んでて!!》

“…嫌よ。

アナタにどうこうできるとは思わないし、これは私の体でもあるのよ?

それに、族潰しは私の趣味。

どう?

利害の一致でしょ?”


嫌だ。

カズサに意識を乗っ取られたらあたしは…


《もう人を傷つけるのは嫌なの!!!!!》

“綺麗事並べて自己防衛するの?

アナタはもう、立派な殺人犯だというのに”

《違う!

カズサとあたしは違う!》

“同じよ。

同じ『筏井楓』じゃない。”




カズサは、もう1人のあたしの名前。


そして、族潰しを趣味とする、殺人犯だ。


それは事実上、あたしの殺人犯を意味する。

でも…!!



“アナタと私は同じ身体。

アナタと私は、同じなのよ。”




違う!!

カズサとあたしは違う…ッ!!

あたしは、もう人を傷つけたくないの…!!



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