【短編】キラキラ赤ずきんとドSオオカミ
「大神くん・・起きてたの?」
「お前に見られると寝られねーよ」
「ごめんね」
一気に距離が近くなったせいか、郁は緊張して顔を赤らめていた。
「泣き腫らすなブス」
「ブスって知ってるよ」
「嘘だよ。ブスじゃないから」
「えへへ」
風がさっきよりも柔くなった。
郁の匂いが、ふわりと来る。
「ごめんね、私、さっき大神くんがキスしてるの見ちゃった」
「そんなの知ってるし。あれは、お前をいじめる為にやっただけだから」
「知ってるよ。大神くんは浮気をする程悪い人じゃないもん」
「あの時は・・ごめん」
「別に、たまたま見ちゃっただけだし」
「お前、俺は寒がりだから屋上には行かないと思ってここで泣いてたんだろ」
「えっ、」
「デートだから張り切って、赤いカチューシャ着けてたんだろ」
「えっ、そっ」
俺は郁をぎゅっと抱き締めた。