アイシテルSS
事の発端は、伸也さんのお父さんとパパだった。
お見合いを終え、家族同士の会食を何度か重ねていたある日、突然思い立ったかのように提案された。
「2人の新居を決めなきゃいけないな」
そんな言葉で始まり、私達の手元には目を通しきれないほどの、物件資料が届いた。
伸也さんは、
「亜美の住みたいところにしろ」
って、完璧に私任せだし……
私は正直、住むところなんてどこだって良かった。
伸也さんとこうして一緒に暮らせるなら、何もいらないのに……
周りは私の気持ちを無視したまま、話を進めて行く。
その事が、最近重荷に感じていた。